人生。
人が、それぞれ独自に歩んでる道。
それは日々様々な選択と偶然によって決まってゆく。
小さな奇跡の下に少年と少女は出会い、大きな選択と再度の小さな奇跡のお陰で、今…二人はともに歩む。
そして……二度目の冬を迎えようとしていた。
10月31日 日曜日
「…暇だな」
少女はつぶやいた。
「…祐一さんの、意地悪」
もう一声。
何しろ、彼氏さんはもう何日もデートしてくれていないのだ。
相手が受験生だという事は解っているのだけど…それでも、お預けを食らっている身としては「たまには」などと思ってしまう。
…ようやく、人並みには動けるようになったのに。
色々な場所に、行けるはずなのに。
「はぁ…」
ため息が出る。
…ふぅ。
「…こんなこと考えてても始まらないよね」
「アイス、食べよ」
少女はベッドから腰を上げて、ぷらぷらしてた脚で床に降り立った。
くらっ
ふっと、景色がずれる。
膝がくだけてしまったみたいだ。
「あれぇ…?」
…もう、なんともない。
風邪だろうか?
そう考えると、急に倦怠感が少女を襲う。
アイスを食べる気が失せた少女は、何もせずにそのままベッドにもぐりこんだ。